石川県道43号線・戸谷隧道

 

ネット黎明期の頃からネット界に雷名を轟かせてきた石川県道43号線(丸山加賀線)の戸谷隧道。 今さら説明は必要ないと思うが現役県道の隧道でありながらあまりにも狭小な断面の為、 隧道前後の県道は事実上の通行不能区間となっている。 特異隧道として絶大に人気を誇る一方で認知度の高まりの影響もあってか、 近年では殆どの道路地図から抹消されつつあるようだ。

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A地点 小松市大杉町 県道43号 道路情報板

事前の調べでは戸谷隧道まで普通車でも行けなくもないと聞くが、 大事を取って県道161号線との交点(大杉町側)より徒歩にて向かう事にした。 写真手前が県道161号(大杉長谷線)、奥と右側が問題の43号線だ。 この県道同士の交差点には加賀方面への43号線に何の案内も出ていないので、 161号と43号で丸山地区と小松、加賀市内を結ぶ一本の路線のような形になっている。 戸谷隧道が道として機能していれば加賀方面へは多少の近道になるのだが、 県道161号→163号→11号を経由する迂回ルートの整備が進んでいる為、 不通区間解消の要望も特に無いんだろう。
この日は県道43号線の上大杉〜丸山間も通行止めになっていたので、 ここからはどこにも抜けられないと言う事になる。 道理で車が全然通らない訳だ。
   
A地点 桜橋(昭和51年9月架設) B地点 戸谷橋(昭和52年3月架設)

戸谷隧道への県道43号線は桜橋で大杉谷川の対岸に渡り、 そこから支流の谷に沿って峰越えの隧道へ向け登って行く。 この間、大杉谷川沿いの区間は舗装されているが、 これは県道としてと言うよりは河川管理道としての整備だと思われる。
 
C地点 未舗装の始まり

戸谷橋を渡ると大杉谷川に沿う町道と分岐するが、 どう見ても本線は町道の方である。
その証拠に大杉谷川から離れた県道はいきなり未舗装になり、 「この先、幅員狭小のため車両通行できません」との看板まで建っていた。 また、ここには「熊出没注意」の看板も並んで建っており、 音を出せと言う警告に従って携帯の着メロを鳴らしながら進む事にした。

 
D地点 分岐

林業関係者の通行があるのか路面はそこそこフラット。 道幅は狭いが軽トラなら全然問題ない範囲だ。 そんな道をしばらく進むと行き先が二手に分かれている。 どちらも似たような道の為、迷いそうになるが上りの右が正解。 地形図ではここから点線道になっているようだが、 特に道が悪くなるという事もなくフラットなダートが続いている。
   
E地点 古城橋 上流から古城橋を振り返る

道中の古城橋は点線区間には似つかわしくない立派な車道規格のRC橋で、 昭和37年3月の架設である。 この先の戸谷隧道は少なくとも戦前の竣工なので、 昭和37年以前はおそらく木橋が架かっていたんだろう。
 
F地点

C地点の分岐から15分ほど歩いた所で戸谷隧道の坑口が見えてきた。 ここまでの道はやや路面が荒れていたが、 軽の四駆車なら全然問題ないレベルだった。
   

坑口前には転回所として広いスペースが取られており、 ネットでよく知られた「高さ1.7m、幅0.8m」の標識が建っている。 広場には転回した轍が多く見られたので、 ここまでは林業関係者などが時々入っているんだろう。 隧道を通り抜けてるのは正直な所、同好者ぐらいじゃないのかという気がする。

 
戸谷隧道 丸山側坑口
延長402m、幅員2.1m、高さ2.2m

手持ちの情報はとにかく狭い隧道だという事ばかりに眼が行っていて、 ようやく現地で気付いたがこちらの坑門は煉瓦製である。 煉瓦坑門の隧道は大抵が断面が小さい物だが、 ここまで小型な物は道路隧道では他に見た事がない。 小さいながらもピラスターもある立派な坑門だが、 向かって左側が大きく崩れてしまっている事が惜しまれる。
実際の断面は先ほどの制限標識より大きく、幅、高さ共に2mはあるので、 物理的には普通車も通れなくもないようだ。
   
損傷の激しい坑門左側 植物に覆われている坑門右側


 
隧道内から丸山方面を見る
洞内の煉瓦巻立て延長は坑門から僅か2m程度のみ

   

洞内は素掘りの部分が殆どで所々にコンクリートやライナープレートでの補強がされている。 延長の割に灯りが無い事もあってそれなりに不気味だが、 それだけでは歩きの身には盛り上がりに欠ける気がする。 ここには乗物で来るのが一番楽しいのかもしれない。
 

ちょうど半分を過ぎた辺りから時節柄蝙蝠の姿が見えてきた。 そして、その数は急激に増加し、あっと言う間に狭い洞内を所狭しと乱舞し始めた。
   

加賀側の出口約100mはライナープレートで巻き立てられている。 このお陰で唯でさえ狭い断面が更に一回り狭くなり、 いよいよ蝙蝠の密度は高まった。 はっきり言ってこの間の蝙蝠の不快さは耐え難い物があった。
 
G地点戸谷隧道 加賀側坑口

こちら側の坑門はライナープレートと一体化したコンクリートで改修され尽くしており、 断面の小ささ意外には特にコメントが見付からない。 元は丸山側と同じ煉瓦の坑門だったと思われる。
   
加賀側の制限標識 加賀市へ向かう県道43号線


 

蝙蝠が充満する隧道をもう一度通るのが嫌で堪らなかったので、 峰越えをして帰ろうかと本気で考えた程だったが 不快と疲労を天秤にかけた結果、ダッシュで隧道を駆け抜ける事を選択したのだった。

 

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