東京鉄道郵便局 専用地下鉄
 

大正3(1914)年12月に開業した東京駅には、 駅舎と同時に造られた赤煉瓦の地下通路が存在する。 開業翌年の大正4年5月には東京中央郵便局まで延伸され、 地下通路と駅ホームを結ぶエレベーター8基も竣工、 これによって郵便物輸送用の専用線として完成を見た。 約200mの専用線を20馬力の電気機関車が台車を引いて運行を開始し、 日本初の地下鉄道であると言われている。 戦時中の資材供出の為、 昭和15(1940)年に鉄道としては廃止されてしまったが、 地下通路はそのまま残り、 昭和53年まで郵便業務用の運搬通路として長く利用されていた。 その後は大部分が埋め戻されたり破壊されてしまったが、 一部は「赤煉瓦通路」と呼ばれ往時の姿を留めている。
この記念すべき日本初の地下鉄を、 地下鉄には数える程しか乗った事がない愛媛県民の私が紹介しよう。

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丸の内南口トイレ 赤煉瓦通路入口

今回の探索はトイレの入口からスタート。 現存する赤煉瓦通路は丸の内南口と八重洲南口の間を結んでおり、 車椅子と商品搬入業者の専用通路として活用されている(※一般には開放されていません)。 丸の内側の入口はトイレ脇にあり、自動ドアになっている事もあってか、 トイレと間違えそうになる人をしばしば見掛けた。
 
赤煉瓦通路
近代土木遺産Bランク

東京駅の象徴とも言うべき赤煉瓦 で造られた地下通路は圧巻の一言。 カンテラ風の照明に照らし出された煉瓦の空間は幻想的な雰囲気を醸し出している。 アーチをよく見ると正円ではなく、上部ほど前に迫出しているのが確認出来る。 これは「五分の跳ね出し積み」という特殊な煉瓦積が用いられた結果だと言われている。
現存する通路の長さは約47mあり、この上を「中央本線」「山手線・京浜東北線」 「東海道本線」が横断している。 鉄道時代は複線だったと言うからさすがに断面は大きく、 幅員、高さは共に約4.8mある。なお洞床は廃線時に2mほど嵩上げされ現在の姿になった。
   
中央本線ホーム行きエレベーター入口 山手線ホーム行きエレベーター入口

エレベーターは入口も含め作り直された物だが、 石積み風の入口が煉瓦通路にマッチしている。

 
平成3年に発行された「赤煉瓦通路 記念入場券」
黒い部分は汚れではなく、アクセントとして意図的に濃い煉瓦が使われているとか。


 
【エレベーター入口】


 
【昔のエレベータの押しボタンスイッチ(HITACHI製だ!)】


 
【赤煉瓦通路(八重洲南口入口)】


 
【郵便物の一時保管所跡(エレベーター前)】


 
赤煉瓦通路全体図

   
八重洲南口
この壁の裏側が赤煉瓦通路のはず
東海道新幹線改札口
 

東京駅の郵便地下鉄の起点があった場所は、現在では東海道新幹線の改札口になっている。 よって当然の事ながら地下通路の遺構は全く無い。
 
東京駅丸の内南口と東京中央郵便局

丸の内側は終点である中央郵便局の地下にあったホームも含め、 完全に埋め戻されているとの事だ(念の為に郵便局でも聞いてみた)。

 
東京中央郵便局(昭和6年竣工)

最後に余談になるが、 東京駅舎が再開発によって戦災前の姿に復元されようとしているのとは裏腹に、 向かいに位置する郵便局舎の方は解体の危機に瀕している。 保存に向け「国の重要文化財に」という動きもあるようなので、今後の成り行きに注目したい。

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